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男女ツインボーカルの可能性を探る–YIKO インタビュー【New Action! コラボポスト】

ロックバンドとしての軸を大切にしながら、男女ツインボーカルの可能性を探るYIKO。結成の経緯や音楽的ルーツ、ライブへのこだわり、そして今後の展望について、Satoriさんとラブアンリミテッドしまだんさんに話を聞いた。(以下、Satori、しまだんと表記)

 ―― まずは簡単に自己紹介をお願いします。

 Satori「バンドとしての活動を始めたのは2024年の1月頃ですね。初ライブは約一年後の今年1月です。もともとHealthy Dynamite ClubというバンドをYIKOと近いメンバーで組んでいたんですが、活動を休止していて。その後、コロナ禍で時間ができたので漠然と『バンドやりたいなぁ』と楽曲のデモをいくつか作っていた中で、女性ボーカルを軸に曲をつくってみたいという構想が自分の中で浮かんだんですが、そこから2年くらいは特に進展せずに寝かせていたような状態でした。そこから一昨年の年末に自分の生活に変化があり少し余裕ができたことでまたバンドをやりたい!と思うようになって。それで、以前から交流のあったMonariちゃんを誘ってツインボーカルを軸にした曲を作り始めました。しまだんはその時まだYIKOには参加していなかったのですが、去年の春くらいに公園で飲みながら『またやろうぜ』って話をして、そこからメンバーとして参加してもらうことになりました。」 

音楽のルーツ

―― 音楽のルーツについても教えてください。

 Satori「もともとUKロックなど、ギターが鳴っているバンドが好きでした。そこからラップに出会って、(しまだんもギターとして参加している)志人 CHIYORI LOSTRAINSの『家の庭』に衝撃を受けましたね。もともとしまだんと一緒にやりたいと思ったのもその作品を聴いてのことでした。日本のバンド音楽だと、クラムボンみたいな温かい音楽に影響を受けています。」

しまだん「実は布袋寅泰に憧れてギターを始めました。高校生の頃はロックをやっていたんですが、そこからジャズやレゲエなどブラックミュージックがメインになっていきました」

 しまだん「今回のEPの作曲段階ではほとんど携わっていないんですが「超天竺」という曲のデモを作ったのは先ほど言っていたHealthy Dynamite Clubの頃で、この曲はビル・ウィザースを参考にしたり、ソウルミュージックも自分にとって大切なルーツだと感じています。ただ、YIKOはあくまでロックバンドという軸があるので、そこを主張したい。ソウルファンクのバンドだとは思っていないですね。でも、普段はなかなか言えないような言葉、例えば“ラブ”を音楽で表現するという思いはあります。以前、ディスクユニオンで働いていたんですが、そこでの経験が耳を育てるのにすごく役立ちました」 

 音楽シーンへの想い 

 ―― 音楽シーンについて、どうなってほしいと考えていますか? 

 しまだんi「かっこいいバンドや個性的なバンドは確実に増えていると思います。その中で売れている人もいるし、もっと増えてほしいですね。リスナーも音楽の聴き方が変わってきていると思います」 

Satori「七尾旅人さんが何かのインタビューで言っていたと思うんですが、音楽は配信が全盛になっていて、また元の形に戻ろうとしているんじゃないかと。昔はCDなどの物質を介していたものが、サブスクの登場でそうした媒介が少なくなってきましたよね。SNSや音楽配信によって、アーティストの意図にアクセスしやすくなったのは良いことだと思いますし、そういった聴き方がよりリスナーへの音楽に対する興味関心を盛り立てていることは、より純粋な音楽の楽しみ方に近づいているんじゃないかなと思います。」

 音楽以外からの影響 

 ―― 制作において、音楽以外からの影響を受けたことはありますか? 

 Satori「YIKOとして最初に作ったのが『どうかしてる』という曲で、バンドの中でもすごく明るいメロの曲なんですが、歌詞はめちゃくちゃ怒ってるんですよね。でも、どこかに愛を諦めきれない人間の様が現れていてるとも思っていて。暗い社会情勢や、人を傷つけるようなSNSの状況もあるけど、それを含めて“一つになれないか”という思いで作りました。僕が曲を書くときはネガティブな感情が元になっていることがほとんどなんですが、日々の生活の中で様々な影響を受けながら音楽に昇華している感じです。」

 もし架空のイベントを組むなら? 

 ―― もし架空のイベントを組むとしたら、どんなアーティストとやってみたいですか? 

 Satori「自身のルーツで好きなアーティスト、というシンプルな理由なんですが、ZAZEN BOYSと共演してみたいです。一見「対バンとしてどんな空気になるんだろう?」というような組み合わせのイベントが個人的に好きで。去年、家主が自主企画でthe pillowsをゲストに呼んだ企画を見に行かせてもらったんですが、互いに初共演でキャリアも違う対バンだけど、家主からの熱いリスペクトとそれに応えるようなthe pillowsの演奏で互いのファンもすごく熱心にライブを見ている光景があって。そういうのっていいなって思いますね。」 

 ライブパフォーマンスへのこだわり 

 ―― ライブパフォーマンスについて、意識していることはありますか? 

 Satori「フロアがハッピーな空間になるようにしたいですね。音源とライブは違うので、そこをどう伝えるかは意識しています。知っている人も、初めて聴く人も楽しめるようなライブを目指してます。歌詞を変えたりもしますね。ビリー・ジョエルが東京ドーム公演で『ピアノ・マン』の歌詞の“酒場に集まってくれた”の部分を“東京ドームに集まってくれた”に変えたら、めちゃくちゃ盛り上がってる動画が凄く好きだったんですけど、そういうライブならではの特別感はとても意識しています。」 

 しまだん「今後、満員のライブもあれば、お客さんが少ない時もあると思います。クラップを煽るにしても、知らないバンドに対してはハードルが高い。それは自分がいろんなバンドを見てきたからこそ分かることで。だからこそ、一体感を大事にしたいですね」 

 YIKOとしての目標 

 ―― YIKOとしての目標を教えてください。

 Satori「YIKOとしてではないんですが、個人的にはフジロックに出たいですね。バンドとしては、まだ始めたばかりなので、焦らず余裕を持ちながら進んでいきたい。曲を増やして、男女ボーカルの良さをもっと活かしていきたいですね」 

 YIKOは、これからの音楽シーンにおいて独自の位置を確立しようとしている。バンドとしての軸を大切にしながらも、男女ツインボーカルならではの新しい表現方法に挑戦し、音楽的な幅を広げていこうという意欲を強く感じた。今後はさらにライブパフォーマンスにも磨きをかけ、観客と一体感を共有できる空間を提供していくだろう。また、個々のメンバーが持つ音楽的ルーツや個性が、YIKOの音楽にどのような影響を与えていくのかも楽しみだ。 楽曲を通じて、YIKOがどのように進化していくのか、その動向に注目していきたい。