WEEAVE

【Interview】I Mean Usが語る「DOVE」、〈雲〉のモチーフ、そして台湾インディの精神

台北発ドリームポップ・バンド I Mean Us が、新章へ歩み出す。新曲 「DOVE」 を前に、偶然から始まったバンドが“共通のビジョン”でまとまっていくまでのこと、ビジュアルに漂う〈雲〉の意味、そして“インクルーシブでグローバル”な台湾インディの現在地を聞いた。メガポートのメイン・ステージで見た黄昏の景色から、VITZ の初リードまで——今のIMUを切り取る。

バンドについて

―― I Mean Us はどのように結成され、いまもメンバーを結びつけている共通項は?

Hank(Ba): きっかけは、共通の友人だった元メンバーの Chun。当初はお互いほとんど知らない者同士で、最初のリハは正直ちょっと可笑しいくらい気まずかったんです。Chunの脱退後に新メンバー探しで難航していたとき、OHAN に偶然出会って、その場で「入らない?」と。幸運にも「イエス」でした。
バンドに“まったく同じ具体的なゴール”を強いるのは難しい。誰か一人でも迷いがあれば崩れてしまうこともある。僕らにとって大事なのは“ビジョン”と“パッション”を共有できること。ありがたいことに5人が本気で共有しているビジョンはひとつ、「世界中のより多くの人に自分たちの音楽を届ける」**こと。何をするにも、その基本信条に立ち返れば道筋が見えてきます。

―― 台湾インディの文脈で「それ、IMUだ」と分かれる音/ビジュアルの“らしさ”は?

Mandark(Vo/Keys): ビジュアルでは、繰り返し登場する 〈雲〉モチーフがささやかなサインに。音では、ドリームポップのエモーショナルな霞。この二つの重なりが、IMUらしさを直感的に伝えてくれると思います。

―― 2025年、“DOVE”前にして一番誇らしかった瞬間は?


PP L(Dr): みんなで何かを成し遂げて、いい手応えを共有できたときは、規模に関係なくいつも誇らしいです。ひとつ挙げるなら、3月の Megaport Festival。初出演で、人気YouTuber/ミュージシャンの Huang Da-Chien さんともコラボできました。フェス最大の屋外ステージで、空が昼から夜に移ろい、フィールドが人で満ちていく——魔法みたいで、夢のような体験でした。

「DOVE」について

―― 一文で言うと、「DOVE」はどんな感情/物語を切り取った曲?

VITZ(Gt/Vo): 純愛! その中でしか起こらない、プライベートで少し不安な気持ちを閉じ込めました。

―― 既発曲と色を分ける、サウンド/アレンジ上のキーファクターは?

VITZ: ダイナミックなドラム, ギターのリズム, ベッドルームポップ寄りのボーカルで、“鳩の視点”をイメージして組み立てました。これまでより軽やかでラブリー。でも、IMUのシグネチャーであるエーテルな空気感バンド然とした鳴りはしっかり残しています。
PP L: そして今回、VITZがIMU楽曲で初のリードボーカル。デモを聴いた瞬間、鳩の視点に彼女の声がぴったりだと感じました。さらにストーリーテリング型の歌詞も珍しくて、新鮮な手触りになっています。

―― “鳩”は〈平和/飛翔/憧憬〉などを想起させる。歌詞で最も強いニュアンスは?

VITZ: 鳩を選んだのは、その歩き方や首の動きに惹かれたから。街角で偶然出会って、近づきすぎるとふっと距離を取り、舞い上がる。それってみたい——予測できないし、一瞬の近さと遠さが同居している。

―― “耳福ポイント”——タイムスタンプと、作り方をひと言で。

VITZ: 2分41秒あたりのハイピッチのトーン。ストリングスに聞こえるかもしれないけれど、実はアンビエントなギターをチューニングで持ち上げた音。セクションの橋渡しであり、スローモーションの静止を作る——鳥と彼女が視線を交わす一瞬のために。

台湾シーンについて

―― MandopopやK-popしか知らない海外の人に、いまの台湾インディをどう説明する?

OHAN(Vo/Gt): キーワードは “Togetherness(結束)” と “Diversity & Inclusion(多様性と包摂)”。小さな島から始まった独立音楽が、いまや世界で聴かれています。最初に台湾の名を外に広めた先輩バンドたちが、今も後続を引き上げ続けている。Sunset Rollercoaster のノスタルジックなロマンス、Elephant Gym のマスロック、Fire EX. のパンク、そして僕らのドリームポップ。開かれていて、対照に満ちた台湾そのものが、シーンにも表れています。

―― これから5年で、台湾の音楽エコシステムに起きてほしい変化は? バンドは何ができる?

PP L: ライブに足を運ぶ観客の裾野がもっと広がること。 ただ数が増えるだけでなく、年齢や背景が多様になること。ライブに対価を払い、耳を傾ける人が増えると、エコシステムは健全になり、創造性は自然と加速します。僕らにできるのは、自分たちに誠実な作品を作り続け、ミュージシャンや観客と積極的に関わること。小さくても、その積み重ねがシーンを開いていくはずです。

I Mean Us を動かす合言葉は、単純で、揺るがない。「もっと多くの耳へ、もっと遠くへ。」
「DOVE」 は、バンドに新しい質感を与えつつ、彼らを一目で識別させる〈雲〉の仄光を失っていない。IMUは今後も台湾インディーシーンを世界に伝える役割を担っていくだろう。