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インタビュー| Lola Amour — 『Love On Loop』、引き算の美学、そして“物語を歩ける”ライブへ

フィリピンで国民的な人気を誇るバンド、Lola Amourが新曲を発表。今回は、日本との接点(Kokoro from PSYCHIC FEVER との共演を含む)を軸に、最新作『Love On Loop』の核心を探った。「With You」に結晶した“Less is more(引き算)”の感覚、〈失恋→解放→後悔〉という曲順の設計、初めてのサンプリング導入、そしてアジア各地へと広がるライブの現在形まで──。

—-サウンドやアイデンティティはどう進化しましたか? その中で『Love On Loop』を象徴する1曲は?

Lola Amour:
以前の作品と比べて響きは変わったけど、Lola Amourらしさは確かに残っています。テーマは同じだけど、より成熟した形で。“With You”がその象徴です。9年一緒に音楽を作ってきた僕たちは、「何を足すか」より「どう曲に尽くすか」を大事にするようになった。最も素直で、親密な曲。まさに“引き算”の実践です。

—-『Love On Loop』を通してどんな体験を届けたいですか?

Lola Amour:
つながり、ですね。全曲が僕らそれぞれの実体験から生まれていて、嬉しい夜、泣きたい日、何もしたくない時——どんな時にも寄り添える曲が必ずあると思います。

—-“愛の段階”を描く曲順の中で、特に意識したトランジションは?

Lola Amour:
“Did My Time”→“Misbehave”→“With You”の流れですね。失恋→解放→後悔と、感情の移ろいを音で繋ぎました。“Misbehave”のクラブっぽい立ち上がりから、“With You”のしっとりした渇望へ。物語を音で紡ぐ感じを、CuurleyとHyuk Shinが丁寧にサポートしてくれました。

—-今作で挑戦したことは? どの曲でそれが一番よく出ていますか?

Lola Amour:
サンプリングです。以前は“録ったら完成”って考えだったけど、今回は“情景を呼ぶ音”として素材を使いました。“The Moment”の冒頭(0:00〜0:22)を聴けば、その空気感が伝わると思います。そこからジャムっぽい展開に自然につながっていく構成です。

—-日本の音楽・文化からの影響を受けた部分はありましたか?

Lola Amour:
シティポップやJロックなど、日本の音楽には独特の心地よさがあって、何人かのメンバーにはずっと影響があります。文化としても大好きで、バンドで東京や札幌に行って、食や街の空気を肌で感じたのも大きい。最近ではKokoroと同じステージに立つ機会もあって、国を超えたつながりがとても自然に生まれた感覚がありました。

(Lola Amour with Kokoro)

Kokoro (from PSYCHIC FEVER) より、Lola Amourとの楽曲についてコメントをいただいております。フルはこちらからチェック

—-海外の都市やアーティストで、今作に影響を与えたものは?

Lola Amour:
ずっと日本のシティポップの影響はあったけど、『Love On Loop』ではそれをより明確にしています。“One Day Away”は竹内まりや“Plastic Love”の構造に学び、“Dance With My Mistakes”は松原みき“真夜中のドア”とリズムの感覚が呼応しています。ホーンの使い方にもその系譜がにじみ出ています。

—-『Love On Loop』をライブではどう見せていきますか?

Lola Amour:
このアルバム自体が一つの物語なので、ライブは“その世界を歩ける”体験にしたい。アニメーションや照明を使って世界観を強めて、少しだけ振り付けにも挑戦しています。9月12日のコンサートがその初披露で、日本やインドネシア、タイなど、アジア各国にもこのライブを届けていく予定です。

そのコンサートで印象的だった瞬間は?(ファンやゲストとの時間も含めて)

Lola Amour:
長く準備してきたパーツが一つに噛み合った瞬間は、今でも鮮明に覚えています。ファンとの一体感もそうだし、Kokoro(Barb、Sofia Abrogarと一緒に)がEDMセットや『Love On Loop』のリアレンジにも自然にフィットしてくれた。あの瞬間が、次に進む力になりました。

『Love On Loop』は、音を削ぎ落とし、意図を深め、曲順を“世界”に拡張する作品。マニラから東京へ、そしてまたマニラへ——その往復の中で、自分の章を見つけて、何度でもループしてほしい。