最初のインタビューから少し時間をおいて、pamiのデビュー・アルバムについて改めてZoomで話を聞きました。今回は音楽の話だけにフォーカスして、制作プロセスや本人が特に気に入っている曲、そしてトラックリストに込めた感情の流れまでを掘り下げています。浮かび上がってきたのは、「やわらかさ」と「不意打ち」のあいだを行き来するアーティストの、率直なポートレート。ここにあるのは、彼女の声とローワーケースのスタイルをできるだけそのまま残しつつ、読みやすさのために最小限だけ編集した完全版の会話です。

アルバム全体を一文で説明するとしたら、なんて言いますか?

pami:
そうだな… joke and smoke、かな。うん、joke and smoke。アルバムのムードをいちばんよく表してる言葉だと思う。
たとえば “pity dirty” や “kiss me blue” みたいな曲は、ジョークっぽくて、ふざけてる感じがある。でも、ほかの曲たちは煙みたいにすっと消えていく——そんな世界を見せたかったんです。
アルバムにはいろんなタイプの曲が入っていますよね。その中で、あなたにとって「いちばん心臓部」に近い曲はどれですか?
pami:
10曲あって、本当にいろんなスタイルの曲が入ってるんです。“kiss me blue” みたいなシンセポップもあれば、“candydate” みたいにオルタナ寄りのロックもあるし、“pity dirty” みたいにベッドルームポップとR&Bが混ざったものもある。
でも、いちばん大変で、いちばん感情が重かったのは “highway”。新曲のうちの1曲で、最後に完成させた曲でもあります。
最初は何を書けばいいのか全然わからなくて。締め切りに追い込まれていたのもあって、本当に難しかった。もともとのデモは去年のもので、それもうまくいかなかったんです。
そこから5〜6回くらい書き直して、締め切りの3日前くらいになって、ようやく完成させられた。今ではすごくお気に入りの1曲になっています。
かなりハードだったんですね。逆に、「これはすぐ完成した」という曲は?
pami:
間違いなく “kiss me blue”。それから “call my dad” も、本当に早かった。
メロディと歌詞は2日くらいで書き上がって、プロダクションも1週間くらいでできちゃった。あれは本当にスムーズだった。
でも “highway” は…
制作自体は3日で終わっているんだけど、何度もゼロからやり直したから、すごく長く感じました。あの曲では、完全にライターズブロックにハマってたと思います。
最終的には、メロディに身を任せるしかないってなって。あまり深く考えず、ただ流れに任せて書いていった。それをエグゼクティブ・プロデューサーに送ったら、「これでいこう」って言ってくれて。
あの曲は、本当に誇りに思っています。
少し抽象的な話もしたいです。このアルバムの「質感」を一言で言うと?
pami:
質感? うーん… “puffy” かな。
小さくて、ふわふわしてるんだけど、ちゃんとインパクトがあるもの。小さなパフなのに、急にドーンと弾けちゃう、みたいな感じです。
なんか、女の子の感情に似てる気がする。内側では悲しかったり怒っていたりするけど、それをあからさまに大きくは見せたくない、みたいな。
だから、こんな顔をして——全部飲み込んで耐えてる感じ。“perfect” は、私にとってそういう感覚。やわらかいけど激しいような
ジャンルも本当に幅広いですよね。1曲目から最後の曲まで、曲順はどうやって決めたんですか?
pami:
最初は、まずフレンドリーな曲から始めたくて。“kiss me blue” を頭に置いたのは、いちばん聴きやすくて、ちょっと甘いさもあるから。
だって、誰かと初めて会った時に、いきなり目の前で泣かれたら「ちょっと待って?」ってなるでしょ? だから、最初から悲しい曲でびっくりさせたくはなかったんですよね。
そこから少しずつ、アルバムの奥に入っていくにつれて、どんどん悲しい曲——“lie” や “highway”、“not yet” みたいな曲に辿り着くようにした。聴いてくれる人に、ゆっくり自分のことを知ってもらうイメージで。
終盤は “candydate” と “covent garden” で、もう一度ちょっと楽しいムードに戻してる。
最後の曲に “let it out” を置いたのは、この曲だけ他とまったく違うから。もっとフォークっぽくて、耳を一度「リセット」してくれるような曲にしたかった。
コース料理みたいな感じです。軽い前菜から始まって、だんだん深いところへ行って、お会計をして、家に帰る。
“highway” はデザートかもしれない。“candydate” は伝票を見せられる瞬間。“let it out” は、お母さんが「大丈夫、今回は払ってあげるよ」って言ってくれるところ。
初めてpamiを聴く人に、「まずはこの曲を聴いてほしい」と勧めるなら、どの3曲ですか?
pami:
3曲か… 4曲にしてもいいですか?(笑)
まずは “kiss me blue”。これは、私のど真ん中。バランスの取れたポイントみたいな曲。
次に “lie”。これはすごく違う一面を見せてる曲。自分に対しても「たぶんこの人のこと好きなんだと思う。たぶん何だってしてしまうかもしれない」って、ちょっと自分に嘘をついてしまうようなバージョンの私。
それから “call my dad”。あれはかなりシニカルな曲。「何をしても落ち着かないから…もうお父さんに電話する」みたいな。いい意味で子どもっぽくて、ちょっと生意気な感じ。
最後に “highway”。これがいちばん悲しい曲で、いちばんむき出しの私が出てると思う。
女の子がこういうふうに感じる瞬間があっても、別にいいと思ってる。弱くて、柔らかくて。そこがこの曲の好きなところ。
“pity dirty” も本当に大好きなんだけど、それはちょっと「秘密の自分」みたいな曲だから、今回は選ばなかった。
アルバムを通してはっきりしている所であるがpamiは、まるで夢をなぞるように軽やかに歌いながら、その実、言葉の刃で感情の芯を切り取っていくようなアーティストだ。
彼女のデビュー・アルバムは、皮肉と悲しみのあいだを、ジョークと煙のあいだを揺れ動いている。
“kiss me blue” から入り、“lie” に落ちて、“call my dad” でぐるぐる回されて、“highway” に胸の真ん中を貫かれる。
きっとどこかで不意を突かれるはずだし、「わかったつもり」になった頃には、彼女はまたふわっと煙のように消えて——そして笑いながら戻ってくる。