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Interview| Deadbooy ─“死んだやつ”が這い上がって掴んだ“今”。

高円寺の古着屋に通っていた中学生の頃。学校には行けなくても、そこには“好きなことをやってる人”がいて、文化服装学院の存在を知って、服の道を意識した。そう語るのは、20歳のデザイナーが手がけるブランド「Deadbooy」。

ネガティブをそのまま抱え込むのではなく、「ありのままの姿でプラスに変われたらいい」。その感覚を、ゾンビのイメージに重ねて最初のコレクションを組み立てたという。ポップとダークが同居する色使い、異素材のマッチング、そして“着れる服”としての身体性。服の話から、東京のファッション/音楽シーンに対する違和感、そして5年後に見ている景色まで。かなり正直に話してもらった。

-まず、知らない人向けに。ブランドがどういうブランドなのか、コンセプトや、名前の由来をざっくり教えてください。

Deadbooy:中学校の時に、パニック障害とか精神的なことで結構参っちゃった時期があって。その頃、高円寺の古着屋に通ってたんですよ。学校は行けないけど、そこには“好きなことやってる人”がいて、居心地がよくて。文化服装学院があるってことも知って、服の道を目指してみようかなって。

高校は普通に行ってたんですけど、「一度しかないから好きなのやりたいな」と思って、学校入って、ブランド始めたって感じです。マイナスのとこから、ありのままの姿でプラスに変われたらいい。

“死んだやつ”みたいなとこから、ゾンビとして生き返って這い上がる、みたいな意味を込めて「デッドボーイ」。最初のコレクションもゾンビで始まってます。

-作る側に回ろうと思って、ここまで来れてる原動力ってありますか?

Deadbooy:めっちゃ承認欲求が高くて、人が褒められてるとか、結果出してるのが耐えられないタイプなんですよ(笑)。高校の時、幼馴染がダンスのオーディション番組に出てチヤホヤされ始めて、でも俺それ許せなくて。「いや俺でしょ」みたいな。結構“俺が俺が”なんで。

目立たないとステージにも上がれないし、平常心を保てないから、やるしかない。嫉妬してるだけの人だったら終わりだけど、自分は動き続けてる、むしろいい力になってる。結局それがエネルギーかもしれない。みんなカッコつけて言うけど、絶対どっかにあると思います。

-「タグが無い状態で並んでても、これはDeadbooyだ」って分かるサインってありますか?

Deadbooy:色使いと、生地の質感。でかく見えがちだけど、実際見るとめっちゃキュッとしてる、意外にコンパクト、みたいな。ちょっとおもちゃ感というか、ポップさとダークな雰囲気が融合してて、それが心地よく感じる。

尖りすぎてもないけど、どっか許容できる。“みんなの共通のかっこよさ”もちゃんとある。そのバランスが、自分のブランドって分かるポイントです。

-じゃあ、「色を使うな。モノクロしか使うな」って言われたら、どこでDeadbooyらしさが出ますか?

Deadbooy:グラフィックですね。基本自分で作ってて、友達の顔とか、楽しかった時の写真とかから作ってるんです。それを無作為に重ねたりして、抽象化していく。だから、モノクロでも差別化できると思う。

あと、ノリが大事。おばあちゃんのセレブレーションのTシャツみたいな、よくわかんない90sのアメリカ古着っぽい要素。身内ノリって、後年見たときにわけわかんなすぎて面白いじゃないですか。

-服作りって、最初にどこから動き出します?

Deadbooy:コンセプトから決めます。シーズンで決める時もあるし、学生だからコンテストとか“一体”でテーマがある時もある。今作ってるのは、カエルをテーマにしてたり。

25AWは始めたてだったから、「生き返る」を表現したくて。見にくくて汚くて歪で、そういうのをとにかく組み合わせる。でも統一感があって、それがかっこよさに変わってる。人生でも服でも、それを表現したかった。

-インパクトのあるアイテムを発表されていますが、「ここ超えるとやりすぎ」みたいな線引きはありますか?

Deadbooy:日常的に着れないものはあんまり好きじゃない。大きすぎるとか、体にフィットしてない服って、ショーだとあるけど。服って身に着けるものだから、そこは絶対意識してます。

あと、アートになりすぎる“価値観の押し付け”は違う。見る人が想像できる余地があるほうがいいし、主体は人にあるべき。考えさせられるけど、解釈を強制しない、みたいな。

-何年後でも動かさない軸は?

Deadbooy:「汚い負のものからプラスに変わる」っていうのはぶらさない。異素材とか、本来使われないもの同士のマッチングも外さないと思う。ポップコーンとカットソーを混ぜる、みたいな、ああいう感覚は続けたい。

-5年後、どうなっていたいですか?

Deadbooy:パリコレを越すようなファッションのムーブメントを起こしたい。東京ドームで単独のコレクションファッションショーをやる。4万人動員で、社会現象みたいにしたい。

そうなったら、いらないしがらみとか人脈とかが全部なくなる気がしてて。見たいから来る、バイヤーが勝手に来る、みたいな状態。ランウェイだけじゃなくて、舞台っぽい総合演出でもいいけど、服が主体で全部広げていくと思います。

-最近「報われたな」って思えた瞬間ってありました?

Deadbooy:この前、服を通して海外に2ヶ国行って、中国と台湾に。ブランドの服着て、友達と美味しいもの食べて、そういう日常が服を通してできたのが嬉しかった。

コンテストで賞金もらって、めっちゃいい中華屋行って、みんなにご馳走して。高校の時から一緒にやってきたから、いろいろ思うところがあって。手紙も書いたんですよ。みんなエモくなって泣く、みたいな。始めた時は友達いない感じだったから、今こうなってるのが不思議。ブランドを通して“ずっと一緒にいる仲間”ができたのが一番嬉しいかもしれないです。

-東京のファッションシーン、どう見てます?

Deadbooy:正直、他あんまり興味なくて知らないです。でも、やりすぎなものが多い。尖ればいい、みたいな。「服知ってんの?」って思うやつが多い。

人生かけてない、生き様が感じられない。

日本のデザイナーのほとんどが俺には刺さらない。勢いがないというか、レールの上の尖りって感じ。売って売れて儲けて終わり、その先が見えない。カルチャーがない、って思っちゃいます。

-逆に好きなブランドは?

Deadbooy:「99%is」が大好きで、そのブランドの服しか持ってないです。あそこはチームみんなでブランドを大事にしているし、仲間が何十万で売られている自分達のブランドの服を軽々着て焼肉に行ったり、フェスに行ったり日常が感じられるflexをしてるのがヤバいなと思っています。

海賊感というか、チームで身内ノリを貫く。地元のパンクバンドの写真を、パロディっぽく使ったり、そういうノリもかっこいい。受けを気にしない。尖っているけど“着れる範囲の尖り”なのも好きです。色使いも集めたくなる。

 
 
 
 
 
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-音楽との関わりも意識的ですよね。衣装提供も含めて。

Deadbooy:あえてやってます。服だけじゃ伝えきれないところがある。服は言葉じゃないから、届かない部分がどうしてもある。自分がかっこいいと思うアーティストと絡むことで、伝わったらいいなって。かっこいい人に提供してます。

-東京の音楽シーンはどう見ていますか?

Deadbooy:ビート勝ちというか。サンプリングも、例えばボカロからのサンプリングとかよくあるけど、エモさとかピュアさって1から作り出すべきじゃない?って思っています。

元の曲が持ってた感情をそのままビートに流して、入りやすくしてるだけ、みたいな。それでも信念があれば全然好きだけど、間違えちゃってる人が多い気がする。あと、嘘つきが多い。ギフティングした服をリサイクルショップに売られたこともあって……言ってることとやってることが矛盾してる人がいる。本当のことを歌ってない人も多いと思う。

でも、仲間のことを思って動いて、本物として届く人が増えたらいいなって。音楽に限らず、何にでも言えるけど。

彼が何度も見せたのは、逃げずに守り続ける姿勢だった。汚さや歪さを肯定するのに、独りよがりにならない。尖りの表現をしながら、非日常が日常に戻る導線を絶対に切らない。ムーブメントの話が荒唐無稽に聞こえないのは、その「身体性」への執着が、言葉の端々から見えてくるからかもしれない。